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#039
Nov-01-2005
親愛なるターナー様
   

君との出会いは、随分前になるね。
あの頃の僕は、知らない事や知りたい事、やれない事ややりたい事でいっぱいで、毎日新たな希望に胸躍らせていた。
誰にも真似できない自分だけの音を手に入れたくて、毎日ギターを弾いていたんだ。

各地のライブハウスを巡っている途中の神戸の楽器店に君はいた。
町によくある綺麗にディスプレイされた楽器店でなく、なんというか雑然として店の照明も暗い、倉庫の様な店だった。
一面に置かれたギターの風景に紛れながらも、君は僕を呼んだんだ。

君を見つけた時、実際は新品なんだけれど、僕は何故か、古代的・原始的なもの、永久不変な印象を君から受けた。
ギブソンやフェンダーにはない、木目の深い色のせいなのかもしれない。斬新なヘッドやボディのフォルムのせいなのかもしれない。僕はひと目で君の虜になった。

君を手に取った瞬間、不思議な魔力に操られるように、音や状態をしっかりチェックすることなく、決めたんだ。
正規発売前ということで本来50〜60万の値がつくところがお試し価格の6万円だった君と、
正規発売前の僕にとっては50〜60万もの価値がある6万円を、すぐに交換し、僕は君を手に入れた。

そうして、君と僕の関係は始まったんだ。

それからは、僕たちはいつでも一緒だった。
君の出す音色は、弾いている僕をも時々ドキッとさせる魅惑的で勇敢で我侭な魅力に満ちていて、それに触発されて僕は、高揚し、沢山のインスピレーションをもたらされ、色々なフレーズを思い描くことができた。

君と僕とは息もぴったりで、いつしか無くてはならない存在になった。
僕は君を弾いた。レコーディングでもコンサートでも撮影でも。
いつも一番近くにいて、お互いの個性を表現していたね。沢山の声援を受け、拍手をもらって、本当に楽しかった。

でも、僕の音楽的な感性が自由を求めたからなのか、時代の流れがそうさせたのか、
いつしか僕は君と距離を置くようになり、君を手に取る機会をなくしていった。
でも、君もそれで良かったと思ってくれるだろう?
君も走りすぎたから、少し休憩が必要だったんだ。

君と離れている間、色々な事に挑戦したよ。
時代はアナログからデジタルに移行してきて、色々な新しい機材がどんどん出てきてさ、
パソコンなんて触った事もなかった僕が、今じゃMacを使ってアレンジしている。

それでも、時々恋しくなって、眠っている君を起こして、そっと弾く。
ずっと触れていなかったのに、君はすぐに僕になじんで、期待通りの音を出してくれる。
君の出す魅惑的な音に、何かドキッとしたり・・・。

最近また、君の音にインスピレーションをもらいたくて、君を弾かせてもらう機会が増えたけど、
君は全然変わっていない。あの頃のままだ。

見た目は少しくたびれて、小さなキズもあるけれど、まだまだ君はいかしてる!まだまだ君はかっこいいぞ!
それでも少し年季が入ったように聞こえるのは、弾いている僕が年をとったからかな?
かつてそうだったように、君の出す音は、今でも僕の心をかき立てる。

どうしても僕と君の息はぴったり合うんだ。それはきっと、永久不変に。

たとえ君の部品が壊れて、どんなに修理が困難であろうとも、僕がきっと治すから、
これからも良き友でいてください。

                   武沢侑昂より




「ギターの話しを書いて欲しい」と前々からリクエストがありました。
でも、今までそれを書かなかったのは、僕は、僕のギターに対して評論めいたことを書くことができなかったからです。
でも、今日は僕なりにギターの話を書いてみました。

   
11/01/2005: Yutaka Takezawa@Tokyo
   
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